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しんにゅうせい
新入生
宮本 百合子
「日本学芸新聞」1940(昭和15)年4月20日号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,936 字 · 4 页
に「愛児煩悩」という短篇をかいておられるが、そこにも女学校入学試験のために苦しむ親の心、子の心が語られていて印象にのこった。口頭試問というものが、いろいろむずかしい問題をふくんでいるということが、この小説から与えられた印象の焦点をなした。G学園とかいてある。自由学園のことかもしれない。試験の日、そこで娘さんが、「賑やかなところへは何処へ行きましたか?」と試験官に質ねられて、素直に「銀座へ行きました」と答える。その問答をうちへかえって両親に話すと、父親は直感的に「銀座と云ったのか、それはすこしまずかったかな」と憂いの表情を浮べるので、子も不安がる。そんな思いをさせてはわるいと、子供を戸外へやることが書かれている。
父親は、すぐその答えから、試験官が銀座なんかへよく行く子はよくない、と思うだろうという恐怖を持ったのであった。
小説の父親の考は、では、賑やかなところと云えば、どこを指したら満点なのだろうかというところまではふれられていない。だがその作品からはなれて試験官は、どこを念頭においてその質問を出したのだろうかという疑問が私の心にはのこされたのであった。