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にいじましげるちょ『しゃかいうんどうしそうし』しょひょう

新島繁著『社会運動思想史』書評

宮本 百合子

「唯物論研究」1937(昭和12)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,384 字 · 5 页

青空文庫

東洋、婦人の部分は著者によってふれられ得なかったのである。

この種の本の読者として、私は謂わば最も初歩者の一人である。それ故、引用されている多くの古典についても批評を加える力は持っていないが、著者が忠実にその出典を明らかにしている態度には、親切さを感じた。

古代奴隷社会を説きつつ、この著者が、昨今日本の反動的な一部の文芸家によって極めて悪質に利用されている「経済学批判の序論」の末尾でマルクスがギリシャ芸術の「順当な」達成にふれて云っている言葉を、決してマルクス自身「絶対的に美化していないこと」その段階を人類史の大局からはマルクス自身が「未成熟」とし「二度と再び帰らぬ」ことを強調していることを論じている点など、単な思想史には見出されないプラスである。ウィットフォーゲルの「市民社会史」の訳者であるこの著者によって描かれている主篇第三、第四は全巻中最も興味ふかく且つ豊富な部分なのであるけれども、この部分が有益であり面白ければ面白い程私は一層つよく或る残念さを感じた。それは、著者が最初のプランを実現し得なくなったために、かくも面白いヨーロッパ近代社会成立の過程に日本のその時代の歴史的相貌を対照されていないことの憾みである。