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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
03 第三分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 页
――で、この山中に小屋を建て、自分で耕し、自分で着て、細々ながら母を養うて来た次第でございまする」
この若者が、後年の堀尾茂助吉晴だった。
もっと詳しくいえば、尾張御器所の人、堀尾吉久の子で、幼名仁王丸、のち小太郎といい、結髪して茂助と改む――というから、或いは、瑞龍山の山家に土民となっていた頃は、まだ小太郎と称していたかもわからない。
藤吉郎秀吉と彼との主従の縁はこの時に結ばれたものだったが、それから賤ヶ嶽七本槍のひとりにも名が見えるし、晩年には出雲、隠岐の二ヵ国二十四万石を領し、六十九歳で世を終るまでの四十余年間というものは、戦場を馳駆して武名の聞えを取った人だが、生涯、武人のよく云いたがる「手がらばなし」というものは、人に語ったことがなかったという風な性格だった。
それはともかく。
藤吉郎は、茂助を見、茂助母子の口から、その身の上など聞いているうちに、
(これはよい者に会った)
と、心中大きな歓びを感じていた。
彼が、洲股に一つの地位というものを得てから、渇いた田へ水を引くように求めているのは、人間だった。人間の中の人物だった。
その人材に対しても、彼のは、