轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

03 第三分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 页

青空文庫

――というのが勝家らの唱える常識であった。常識はいつも動かし難い真理のように、知識人の雄弁によってよけい論陣の楯になった。

一応、意見として、聞いている顔はしていたが、信長は、勝家などのいう理論に、決して肯定したのではない。

むしろ不満であった。方程式の常識論など聞く耳は持たぬ、といったような風さえ窺える。

しかし、信長には、信念はあっても、彼らの常識論を云い破るだけの論拠が見つからないらしかった。単に不満なる意思を面に漲らせるしかない沈黙であった。

「…………」

当然、評議の席は、沼のように声をひそめてしまう。

勝家や林佐渡らの主張と、それに飽き足らない主君の顔つきとが、一同の口を封じてしまった如く、しばらく、しんとしていた。

「お。――藤吉郎」

突然、信長が、名をさした。

遥か、末席のほうにいた彼の顔を、信長の眼は、見つけたように呼びかけた。

「藤吉郎。そちの意見はどうなのか。遠慮なく、そこにて申してみい」

「はッ……」

返辞が聞えた。

しかし、上座の重臣たちには、それを振り向いても、姿が見えないほど、遠い末席であった。

「申してみい」

重ねて信長がいう。