轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

03 第三分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 页

青空文庫

「曾呂利どの、お邪魔したな。悪いことはいわないから、おまえも、はやく家を閉めて、田舎へでも逃げたがいいよ」

跛足をひいて、彼は垣の外へ出て行った。そして、往来に待っていたおきぬが寄って来るとすぐ訊いた。

「どこにいたと知れたのか、父は」

「南宗寺のお坊さまが、青くなって、知らせに駈けつけて来てくれましたので」

「南宗寺? ……。あそこは今、阿波三好党の大将の十河讃岐守様がたくさんな兵をおいて、御本陣としているそうではないか」

「その御本陣へ、お父様が、何の科か、武者たちに囲まれて、曳かれておいでになったと――お坊さま方も、たいへん心配して、何よりはと、家へ知らせてくれたのでございまする」

「えッ。……武者にかこまれて、あそこの陣所へ曳かれて行ったと。そ、それは、たいへんだ」

道安は、足が不自由なので、常にそれを人眼にも、新妻の眼にも、努めて隠すようにして歩くのが癖だったが、そんな用意も捨てて、おきぬや手代よりも先に、跛足をひいて家へ急いだ。

名器

招きの時刻に違わず、きちんと席に揃うのも、茶の礼儀であり、客の心がけの一つでもあった。

その日、亭主側の宗易の身に、思わぬ事件が起ったのを少しも知らない当夜の客たちは、道安の帰った頃、もう広間のほうに揃っていた。