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しんていきららざか

新訂雲母阪

直木 三十五

「文藝春秋」文藝春秋、1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,792 字 · 12 页

青空文庫

お俊が戻ると共に、この事を知ったのは勿論である。そして、これも勿論その由を、すぐ京へ知らせるべく彦根を出た。それから、お新が、この女も勿論、山田が坂本へ行った事をさぐったから、京へ向った。

佐々木兄弟が帰った時、この噂は、これも勿論耳に入るし、お新の証言もあり、とにかく山田をと云う事になった。が、それよりも困る話は、来馬に殺された男の父が、来馬を召捕えようとしているし、当然、理由の無いこの殺人は切腹に価する事であるから、同じ来馬を殺すものなら、武士らしい最後を、――それからお俊が、来馬と事を起して、自分らの面目に関係せぬよう――この際の処置は早い方がいゝ、と。

又、説く、山田某、お俊が訊ねてくると共に、甚七の来京を知った。

「召捕えてしまえばいゝ。」

そうして、書状を発して役人に知らせると共に、甚七を呼寄せる手段を講じた。お俊は山田を甚七の所へ、誘出しさえすればいゝと、山越えに雲母阪へかかった。

甚七は昔の侍姿で待っていた。

「珍しい山田君。」

「いろいろまちがいが有ったそうで迷惑だろう。何処へ行く。」

「少し話があるが。」

いざと云わば一刀にと、甚七、少し長い間をもたしさえすれば十分に取巻けると山田君。