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しんていきららざか

新訂雲母阪

直木 三十五

「文藝春秋」文藝春秋、1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,792 字 · 12 页

青空文庫

三

」

「何故――妙な事を。」

「実は――」

と、弟の云ったのを一人は目で抑えた。

「お包みなく云って頂きたい。」

「城下へ――」

「城下の何ちらへ。」

「一体、何を聞きに来られたのだ。君達から行方を聞かれるような――丸で罪人を問うような――」

来馬は酒を飲んでいた。だから、そう云っている内に

「無礼な。」

と、頭の中にうろ/\していた言葉が、つい口を出てしまった。

「無礼?」

「無礼だ。」

何も知らぬ来馬に対しては確に無礼であると共に、三人がこう聞くのも尤もな次第である。だが、勢こゝに来てはそのまゝで納らない。

「無礼とは――」

「帰れ。」

「何をっ――」

「馬鹿めっ――」

甚七は二人を斬った。一人は死んだ。そして彼はそのまま出奔してしまった。

三

何者かに殺された佐々木左門の弟が桑名に居た。甚七は心易い仲であったから、その足で、その家を尋ねた。

「詰らぬ事から、これ/\で――、わしはこれから江戸へ出ようと思うが、少しの旅費と、一夜の宿とを――」

「何をまた、甥などが――」

と、云って夜更けまで語り、旅費を与えて立たせると、一足ちがいに急飛脚が来た。

「父を討ったのは来馬らしく、その上、人を殺めて立退いたが、いろ/\相談もありすぐ来てくれ。