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ひがさとちょう
日がさとちょう
小川 未明
「週刊朝日」1924(大正13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,703 字 · 8 页
」と、彼女は、思いますと、それをさして帰って、みんなに見せてやりたいものだという気になりました。
彼女は、唐物店へいって、その中のハイカラなのを、かなり高いお金を出して買いました。それをさして歩いた姿は、まったく東京の女であって、どこにも、山奥の田舎娘らしいところは見えなかったのであります。
彼女は、自分の姿を鏡にうつして見とれていました。そして、いよいよふるさとに向かって旅立ったのであります。
山の中のさびしい村では、耳の遠い娘が、見ちがえるほどに、美しくなって帰ったといって、あちらでもこちらでも、うわさをしました。
「たいへんな、ハイカラさんになってきた。」と、みんなは、口々にいいはやしたのであります。娘たちは、まだ、こんなりっぱな日がさを見たことがありませんから、耳の遠い娘が、日がさをさして歩くと、みんなはそのそばに寄ってきました。はじめのうちは、目を円くして見ているばかりで、遠慮をして、貸してくれなどといったものもありませんが、日数がたって、昔のいっしょに遊んだ、耳の遠い娘であったということが、頭の中にはっきりとわかると、
「私に、ちょっと貸してくんなさい。