轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
「オヤ! 何だろう?」
それとなく、気をつけて見ていたおらくは、暫くすると、ほとんど気付かれないほど、顔色をかえた。彼女は、
「まあ髪が大層こわれたなあ……」
と云いながら立ち上った。そしてきわめて自然にお咲の後へ廻って、片手が髪に触るや否や、電光のような速さで、もう一方の手が、下っていた紐のようなものの端をつかんだ。
「アッ!」お咲は低い驚きの声をあげた。そして、それを渡すまいとして、母の手にすがった。が、おらくは全体の力をこめて、紐を手のうちに手繰り込んだ。
二人は、全く無言で、奪い合った。暗い一かたまりが、あっちにゆれ、こっちに倒れながら部屋中を動き廻った。暫くして、動くのが止んだ。お咲の啜泣きが起った。とうとう紐は、おらくの手にとられたのであった。
おらくは、息を切らせ、手を震わせながら、そのかなり長い妙なものを明らかに見た。それは、思わず彼女が、「ああ如来様、南無阿彌陀仏!」と叫んだほど、驚くべきものだった。お咲の下に着ている単衣の襟と、片方の袵が裂かれて、かたいかたい三組の繩によられていたのである。「ああすんでのことであった」彼女は何とも云えない安心に心を撫でられるように感じた。