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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

「ああいう役所にいて、頭の下らない者は損だよ。今度のことも、いずれ平常から親父を憎んでいる奴がこのときこそと思って、企らみやがったのだと思うがなあ……。皆世の中が腐敗したからなんだ。親父のように硬骨な者は、出来るだけすっこませようとばっかりしやがる!」

常から、現代の種々な思想、事物に反感を持って、攻撃ばかりしている庸之助は、今度のことに持論を一層堅たくしたらしく見えた。彼が「今」に生きている人間であるのを忘れたように、この事件のかげに潜んでいることを罵倒した。

「君は僕の親がそんな破廉恥な所業をすると思うかい? え?」

庸之助は、浩が当の相手のように、意気まいて、つめよりながら鋭く訊ねた。

「僕の親父はそんな人間だと思うかよ!」

「そんなことはあるまいとは思うが、僕には分らない」

「なぜ分らないんだ?」憤りで声が太くなった。

「なぜ分らないんだ? 君には、悪いことをしそうな人間と、善いことをしそうな人間とが分らないのか? かりにも僕の親が、僅かな金、いいか金のためにだよ、祖先の名を恥かしめるような行為をするかというんだ! 貧乏したって武士は武士だ、そうじゃあないかい、馬鹿な!」