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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
「――郡!……?」
浩の脳裡を雷のように一条のものが走った。皆解った。庸之助の父親はここの郡書記をしているのであった。果して、拘引された者の一人として、杵築好親という名が、並べてある。浩は何だか変な心持になった。それは悲しいのでも、恐ろしいのでもない。苦甘いような感情が一杯になって、庸之助に何と云ったら好いのか、解らなかった。彼は新聞をもとのように畳みながら、だまっていた。
「見たか?」
「うん!」
「どうしたら好かろう……」
二人はそろそろと歩き出した。
正直そうな、四角い――目や鼻が几帳面に、あまりキッチリ定規で引いたようについていて、どこにも表情のない――庸之助の顔は、青ざめて引き歪んでいる。例の紺木綿の着物の衿に顎を入れて、体中で苦しんでいるらしい姿を見ると、大きな声で唄うように字を読みながら植えて行く、植字小僧のことを、浩は思い浮べた。
「杵築、杵築……好、好親!」と平気に、何事もなく植えられたのだ。変な感じは、一層強く彼の心に拡がったのである。
「親父は何にしろ、あまり敵を作るからね……」
庸之助は、僅かずつ前へ動いて行く足の先を見ながら、独言するように云った。