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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

「各自は、各自の進むべき道はただ一本ほか持たない。それを一旦見出したら決して迷わずに進め、どしどし進め。岩があったら踏み越え、川があったら歩渉れ。倒れるなら、行けるところまで行ってから倒れろ!」彼は、一人の若者が、勇ましく両手を拡げ、足音を踏みとどろかせ、胸を張って、嶮しい山路、荒涼たる原野を、まっすぐに、まっすぐに、どこまでも、どこまでも突き進んで行く姿を想像して涙をこぼした。勇ましく力を張りきらせて暮して行こうと思いながら、理智でいえば卑小な感情にたとい一時的ではあってもほとんど心全体うちのめされたようになることのある自分を思うと、(彼は昔の学者やその他の偉かった人のように感情を殺すことはのぞまない。人間の感ずべきあらゆる情緒、情操を尊重している。真の人間となろうには、それ等のあらゆるものに共鳴し、あらゆるもののなかから、何ものかを発見して行くべきだとは思っている。が、ときどきほんとに小っぽけなこと、たとえば自分の仲間達が、自分に無理解な冷評を加えるときなど、超然としているつもりでも、内心はガタガタすることがあると、それは堪えようとする虚栄心で、一層心が苦しむ。