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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

年寄達や夫だっていざとなればどうだか分らないというような心持もしたし、だんだん訳を聞いて見れば、あの夜のことも、浩ばかり悪いわけでもない。仕舞いには、

「お父さんの考えるような出世は、今の世の中で出来ようはずはないわ。大学を出た立派な人だって始めは、ずいぶん廉くて働くんだっていうもの。浩さんなんかたった十九で十五円じゃ年からいったってねえ。それに学問のしようから違うんですもの……」

などと暗に彼に力をつけたりした。彼は自分と父親の間を周囲のものがいろいろなふうに考えているということに驚かされた。年寄は年寄達で、彼等が若かった時代に見聞きした通りの事件に近いものとして推察しているし、お咲はお咲で、父親が彼の出世の、のろいのを怒っていると思っている。彼は、傍からいろいろ云われて、仕舞いには、ほんとうに自分が考え、望んでいることは何なのか分らないようになってしまう。若い者達が無理でなく思われた。今の場合とは違うかもしれないが、一生の職業を定めるときなどに、あれが好い、これが好いとあまり智慧をつけられ過ぎた結果、とまどって方々喰いかじりのまま一生を過してしまう人などさえある。