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にちげつさま
日月様
「オール読物 第四巻第七号」1949(昭和24)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,162 字 · 23 页
彼氏の賭場に於ける亢奮落胆が忍ばれるようであった。
碁だけなら、さのみツキアイも深まらなかったのだろうが、夕頃、国民酒場へ行列というダンになって、私は彼氏の恩恵を蒙ったのである。行列の先頭を占めている三十人ぐらいは、みんなバクチ打ちである。その中へ彼も遠慮深くはさまっていたが、私を見つけて自分の前へ入れてくれる。これがどうも、前後左右のホンモノのヨタ者連に比べて、まことに威勢がなく、一人ションボリ冴えない感じで、入れて貰う私が、羞しく、又、非常に彼が痛々しかった。
三月十日の大空襲で、日本政府が大いに慌て、私の住む工場地帯は俄に大疎開を行うことになり、たった一つの区で、二三万戸の家を叩きつぶすことになった。これが一週間ぐらいの短時日に終了するという命令である。空襲とオツカツぐらいに上を下への大騒ぎだ。町の到る所で、学徒隊が屋根をひっぺがし、柱を捩じ倒し、戦車も出動して、家を押しつぶす。濛々たる土煙り、その中を疎開の人々が右往左往に荷物を運んでいる。この一区の大疎開によって、タンスなども二十円ぐらいに値下りしたというぐらいなものであった。
そのくせ、家を叩きつぶして百米道路を何十本つくってみたって、ふだんの火事と違う。