轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にほんにおけるしぜんじだいのれきしけんきゅうについて
日本における史前時代の歴史研究について
喜田 貞吉
「史前学雑誌 第一巻第一号」1929(昭和4)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,520 字 · 13 页
しかしながら、人間社会の動きは、単に個人の力にのみよるものではない。よしや各個人としての経歴は不明であっても、これらの個人の集合からなれる社会そのものの文化は立派に存在し得るのであって、そこに尋ぬべき歴史がなければならぬはずである。これは単に遠い古代のことのみではない。われらかつて文部省にあって第一期の国定教科書を執筆したさいに、「陸軍大将乃木希典旅順の要塞を包囲して」という風に最初の原稿に書いておいたところが、乃木大将その原稿を一閲せられて、「これはいけない、旅順を包囲したのは乃木ではない、第三軍である。これはぜひ改めるように」との注意を賜わった。そこでさらに「乃木希典第三軍を率いて」と書き改めたところが、「それでもいけない、旅順を包囲したのは乃木ではなくて第三軍である。もしぜひ乃木の名が必要であるとならば、『乃木希典の率いる第三軍は』というように改めたい」と、重ねて懇切な注意を賜わったことであった。さすがに乃木大将はお目が高かった。歴史の研究はこうでなければならぬ。かりにその主動者の個人の名が不明な場合にも、全体としての動きは常に行われていたはずである。