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うんめい
日本の文学 3 五重塔・運命
幸田 露伴
幸田露伴『日本の文学 3 五重塔・運命』。同一底本的分册已合并为一书。收入:運命、風流仏。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 100,648 字 · 198 页
蓋し天下は天下の天下にして、一人の天下にあらざる也。吾聞く、天朝戦を興すの策ありと、小邦亦敵を禦ぐの図あり。豈肯て途に跪いて之を奉ぜんや。之に順うも未だ其生を必せず、之に逆うも未だ其死を必せず、相逢う賀蘭山前、聊以て博戯せん、吾何をか懼れんやと。太祖書を得て慍ること甚だしく、真に兵を加えんとするの意を起したるなり。洪武十四年は我が南朝弘和元年に当る。時に王既に今川了俊の為に圧迫せられて衰勢に陥り、征西将軍の職を後村上帝の皇子良成王に譲り、筑後矢部に閑居し、読経礼仏を事として、兵政の務をば執りたまわず、年代齟齬するに似たり。然れども王と明との交渉は夙に正平の末より起りしことなれば、王の裁断を以て答書ありしならん。此事我が国に史料全く欠け、大日本史も亦載せずと雖も、彼の史にして彼の威を損ずるの事を記す、決して無根の浮譚にあらず。)一個優秀の風格、多く得可からざるの人なり。洪武十七年、疾を得て死するや、太祖親しく文を為りて祭を致し、岐陽王に追封し、武靖と諡し、太廟に配享したり。景隆は是の如き人の長子にして、其父の蓋世の武勲と、帝室の親眷との関係よりして、斉黄の薦むるところ、建文の任ずるところとなりて、五十万の大軍を統ぶるには至りしなり。