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にっき
日記
宮本 百合子
17 観劇日記(一九二九―一九三〇年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,770 字 · 36 页
黒塗のグランドピアノの上に、В.В. Маяковский という文字が「В.В.」の上下反転の図と逆さにうつってる。或感じだ。
古い女流作家フォルシュも黒装束に白髪で出て来て、諷刺短篇をよんだ。
アレクセイ・トルストイが太った体で自信ありげに出て来て腰かけて長くよんで居る。間に立って自分達そこを出て16にのってクードリンスカヤまでゆき、文学者クラブへ行った。マヤコフスキーの告別式が午前一時頃まであるというので出かけたのだ。
街角から人出だ。騎馬巡査が三人も警備して居る。歩道につらなってる列の後について居ると、忽ち最後だった自分達の後が又人で長くつながれた。
春のはじめで、薄ら寒い。夜空は白雲が多い。
列は動いて門内に入り、前庭をぐるりとうねって居る。正面柱列は十数流の黒赤の長旗で飾られて居る。
燈の明るい広間の窓越しに内部をそろそろ歩いて居る列が見える。
入口は狭く開いて居て赤衛兵が守ってる。
自分そろそろ列の中に立って歩き乍ら思った。マヤコフスキーは最大の誤謬をおかして死んだとしても、これだけにされる仕事をしたのだ。本望でなければならぬと。