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めいあんよめもんどう

明暗嫁問答

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館 、1946(昭和21)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,984 字 · 43 页

青空文庫

金の行方

などと神妙なことを云っていた。こうして約一年ばかり経った。そして勘太夫の溜息をつく番がまわって来たのである、「持たぬ子に苦労はせぬ」と溜息をつく番が……。

金の行方

「伯父上、少々銀子を頂かして下さい」

はじめは正面からそう云いだした。僅かな額だったので黙って出して遣ったが、三度、五たびと重なるのでそろそろ眉がしかみ始めた。なんに遣うのだと訊くと、にこっと笑う、憎げというものの少しもない、明るく冴え冴えとした顔で、こっちの眼を真正面に見ながらにこっと笑う、この笑い顔を見せられると、せっかくしかんできた眉が思わず解けそうになる、そこで慌ててむりにむずかしい顔をする。

「花むらのほうは節期になっておるし、そう金の入用はない筈ではないか、むろん男が世間へ出れば眼にみえない出費があるものだ、遣らぬとは云わないが用途を申してみい」

「人間は疲れたり飽きたりすると欠伸の出るものでございます」直二郎はにこにこしながら妙なことを云いだした、「御用部屋で事務を執っているときなど、どうにも欠伸が出そうでやりきれなくなりますと、江戸邸では立っていって廊下で欠伸をする