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めいじてつがくかいのかいこ

明治哲学界の回顧

井上 哲次郎

04 結論――自分の立場

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,235 字 · 22 页

青空文庫

宗教の発展の過程を三段階に分けて考えることができる。第一段階の宗教は原始的の幼稚なもので、道徳観念がはなはだ乏しくして、倫理上から見て無価値といっても差支えないくらいである。むしろ倫理道徳に反した残酷なことが多いくらいである。それがいっそう発展すると、民族的宗教となってだいぶ倫理道徳の要素が加わってくる。けれどもまだまだ倫理道徳に無関係なことが大部分を占めている。倫理道徳の要素は十中の三か四ぐらいのものである。ところが、宗教がもういっそう進んで、第三の段階に入ると世界的宗教となって、倫理道徳の要素が十中七、八ぐらいに進んでくる。宗教の進化発展は主として倫理道徳の要素の増進すると然らざることにあるので、今日文明教として最も勢力を有している仏教だのクリスト教だのいう宗教はこの第三段階の宗教で、人によってはこれを倫理教ともいっている。しかしながら、仏教だのクリスト教だのにしても、まだ幾多の迷信を伴ってきているので、哲学上から見れば、今日および今後の宗教としてあきたらぬところが多い。そこで歴史的に考察するときには宗教に三段階があるが、なお将来の宗教如何を考察するときには純然たる普遍的世界的の理想教または倫理教が興ってこなければならぬ。