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めいじてつがくかいのかいこ

明治哲学界の回顧

井上 哲次郎

04 結論――自分の立場

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,235 字 · 22 页

青空文庫

認識はただこの現象のみについて成立し得るものである。しかしそれは経験的認識である。超越的認識はこの実在に関する認識である。畢竟認識も超認識的認識すなわち叡智とならねばならぬ。経験的認識はどこまでも差別性を離れないものである。それで実在を対現象的に見たときは、いつのまにか実在を差別視しているのである。実在は経験的認識を超越したものである、すなわち不可知的である。世界の真相は現象と実在との差別観を超越したところにあるのである。真の認識すなわち叡智はその超越界に関する次第で、悟りの境涯となってくるのである。

三 人生哲学

つぎに人生哲学の方面より考察してくると、こういうことになる。進化論者の側においては、二つの根本欲を立てて説明してくるのである。その二つの根本欲は生存欲と生殖欲とである。これは動植物を通じて応用せらるるのである。もとより人間もこの範囲を出でないものとして説明されているが、この点において自分はちがった考えを持っている。この点においては進化論の側からは人間の人間たる所以が説明されていない。すなわち人間の他動物と異っている特色をあきらかにすることができていない。