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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
12 その十一 稲妻は見たり
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页
あなたは太陽ですよ。本当に太陽そのものだ。太陽自身が暗やむようなことは考えられませんでしょう。あなたの一生こそは日本の何百万人のための一生だ。何百万人の太陽があなただということを忘れて下さってはこまりますよ」
それから居合す一同に云った。
「明日、正午に集りましょう」
そして古田老巡査に何事かささやいた。
★
海舟の前にかしこまっているのは虎之介であった。新十郎は今回はまたイヤに分ったらしい顔をしたが、今度という今度ばかりは、虎之介には何が何やら、てんで事件そのものが見当がつかないのである。花廼屋も同様らしく薄とぼけてニヤリニヤリしているが、単に無限にニヤリニヤリしているばかりで、日頃に似ず全然お喋りをしたがらぬ風が妙であるし、おもしろくもある。要するに奴めも全然何が何だか今度ばかりは手の施し様がないのであろう。
そこで今回こそは花廼屋を尻目にかける絶好の機会。虎之介は全部を語り終って、海舟先生の推理が待ち遠しいこと。できるならヤワラの手でもむが如くに海舟の返事がもみだしたいほどムズムズしている。海舟はナイフをとって、例の如くに悪血をとること、今日は実に長い時間だなア。