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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
翌朝、新門の辰五郎の乾分に応援をたのんで縁の下へもぐってもらうと、彼は難なく、その石の壁をあけてしまった。
その新居を造ったのが七宝寺のお抱え職人ベク助であったことも判明した。
そこまでは分ったけれども、それから先は完全に糸が切れているようなものだ。
酔い痴れた一座の人々の動静は誰にも明確な記憶がない。しかし恐らく犯人は外来者、平戸久作と門弟たちでは有り得ないであろう。なぜなら、彼らが血まみれの衣裳を始末することは不可能だからだ。だが、一応自宅へ戻って始末をつけ着代えてきても、怪しみをうけない道理もあった。諸人が酔い痴れていたからである。
新十郎はふッつり人と往来をたち、日ごとに人知れず他出した。そのようなときに、彼は何事も語らないから、他出の目的は分らないが、彼が憑かれたように熱中していることだけは確かであった。
「紳士探偵もボケたなア。犯人は島田三次郎。三尺足らずの小人で武芸達者なら、これにきまったものだ。オレが真犯人をあげても良いが、せっかく売りだした紳士探偵の顔をつぶすのも気の毒だなア。ハッハッハア」
と虎之介は大きな両腕でヘコ帯の前を抑え、肩をゆすって呵々大笑した。