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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

14 その十三 幻の塔

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页

青空文庫

しかし、ベク助に抜け道の細工をやらせるほどの計画を立てるからには、もっと確かな見込みがあってのことではなかろうか。すると、家探しの結果、見落している場所が有りうるであろうか。

新十郎は平戸久作と大坪彦次郎の関係、葉子と鉄馬の破談のテンマツや、新しい結婚のテンマツなどは、辛うじてこれを明らかに知ることができた。

彼が最後に会ったのは、お吉であった。

「お前が婚礼の晩、耳にきいたことを話してごらん。何か特別なことがなかったかね」

「そうですねえ。私はお祝いにあがりましたが、お手伝いもできないから、ボンヤリ坐って、オヒラキになるのを待っていただけですよ。オヒラキのあとで残り物の酒肴をいただいて酩酊しましてからはよく覚えがありませんが、金三さんもお紺さんもオシのことで、酔っぱらうと、ワアワア唸るのがうるさくてねえ」

「オヒラキになったのは何時ごろだね」

「八時ごろだとか皆さんが言っていました。私が酔っぱらって、うたたねして、起きてウチへ帰ったのが十二時ごろですが、そのときは金三さんもお紺さんも銘々の部屋で大イビキでねむっていました。オシのくせに、二人はひどい大イビキでねえ」