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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
婚礼の夜の出席者が全部道場に集っていた。新十郎は花廼屋と虎之介のほかに、三名の警官を伴ったにすぎなかった。
新十郎が一同に着席を命じ、一座のざわめきが静まったとき、島田幾之進の隠し持った短銃が突然金三の耳もとで発射された。金三はとび上った。
新十郎はニッコリ笑っただけだった。そして静かに警官に云った。
「ツンボのフリをしていた男が犯人ですよ。ホラ。私の言うことがよく聞えると見えて、逃げだしましたよ」
逃げたって錬達の門弟にとりまかれていては五歩と動けるものではない。金三は捕えられて、警官にひかれて去った。
新十郎はうちとけて、島田道場の一門に対した。
「お吉のおかげですよ。金三がベク助のツンボとオシを見破ったと語ったそうです。オシのツンボがメクラに語るのも奇怪ですが、ベク助のツンボとオシをニセモノと見破った金三とは何者か。お吉が山本定信邸へ出入りする如くに、金三が山本邸へ出入りすることを確かめれば足りたのです。その確証を握れば、あとは皆さんが私以上にワケを推察なさるでしょう。金三はベク助が三休、五忘の命令で縁の下に抜け道の細工を施したのを見ぬいていました。