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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
18 その十七 狼大明神
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 页
人皇九代開化天皇の子に日子坐王子があり、神大根王はその子で、三野国造、長幡部連等の祖であるということは古事記に現れている。まさにこの地の長幡部神社が神大根王を祀るという古伝は史料に合うが、オーカミイナリの大ヤマト大根大神が同一神だという証拠はどこにもない。
里人はオーカミイナリを信用せず全然相手にしないから、その古文書など誰も問題にしないが、オーカミイナリにとってはこれが焼失しては天下の大事であったろう。神主が怒り狂ったのは当然であった。
新十郎一行は当時の事情をよく知る村人に会ってその話をきいた。古老は語った。
「この郡に加治景村、蛭川真弓という二軒の大金持があったのですが、そのいずれも神の矢に呪われて亡びましたかな。本当に神のタタリなら怖しいことですな」
「すると神の矢に殺されたのは蛭川家の人々だけではないのですか」
「殺されたのは蛭川家の二人だけですが、加治という大金持が没落したのは、これも神の矢のタタリによるように村人に考えられておるのです。ちょうど御一新まもない頃のことだと思いますが、加治家の土蔵が破られて二十二個の箱づめの黄金が何者かに奪われたのです。