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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
04 その三 魔教の怪
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,829 字 · 45 页
ミコが立ってサッと消してしまったのである。
すべては闇の底に沈んだが、雷象の息絶え絶えの苦悶によって、目に見るよりもむごたらしい死の情景がありありと分った。雷象は血の海の中をころがりまわっていた。彼のノドはすでに食いとられ、今や腹を存分に食い荒されているのである。かすかな悲鳴を一つのこして雷象の息は絶えた。
光がついた。雷象は死んでいた。どこにも傷もなかったが、まさしく、月田まち子がノド笛を食いとられ、腹をさかれて惨死したとちょうど同じ恰好で、息絶えていたのである。
ミコが立って、彼の身体をさするうちに、彼は息を吹きかえした。ふと気がつくと、世良田の姿はすでにそこには見えなかった。
★
虎之介は長い話を語り終った。話が長いところへ、今まで見聞のなかった特殊な事柄を語るのだから、一々メモと首ッぴきに長考連続、ついに半日語りつづけた。
すでにしぼる血をしぼりつくした海舟、しかし寸分の油断もなく耳をすまして聞き終ったが、静かに熟考しばし、フッと我に返って、虎之介の顔をなでるように打ち眺め、
「実に意外な事件だなア。世良田摩喜太郎は小藩の出ながら稀代の逸材、よく薩長とレンラクして倒幕にはたらいた奇才であったが、そのころ二十一二の小僧だったそうな。