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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

帽子を被ったままのが言ったんで、森村だと渡瀬にも分った。

「ふむ、そうか。……そんなものかなあ……」

「園君、君はもうあっちに行くといい……。そしてガンベもう帰れ、俺が送っていってやるから。今夜は雪だからおそくなると難儀だ」

そう人見がとりなし顔にいったけれども、園は座を立とうともしなかった。渡瀬はどうしてもうんといわせたかった。園が不断から言葉少なで遠慮がちな男だとは知っていたけれども、これだけいうのに黙っていられるのは、癪にさわらないでもなかった。それよりも渡瀬はすべてが頼りなくなってきた。自分でも知らずに長く抑えつけていた孤独の感じが一度に堰を切って迸りでたかと淋しかった。

「園、貴様何んとかいってもいいじゃないか。俺は酔っぱらっているさ。……酔っぱらっているからって渡瀬作造は渡瀬作造だ。それとも渡瀬作造なるものに……まあいい園、俺と握手をしろ。そうだもっと握れ。俺が貴様の自由意志を尊重していないとしたらだな……俺はあやまる……。どうだ」

澄んだ眼を持った園の顔はすぐ眼の前にあった。それを涙がぼやかしてしまった。園の手が堅く渡瀬の手を握ったかと思うと、