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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

何しろ酒にありつかなければもういられなくなった。

彼は人見と園とにつき添われて、白官舎から、真白に雪の降りつもった往来へとよろけでた。

*    *    *

どうしても気の許せないようなところのある男だった。それが、ともかく表向は信じきっているように見える父の前に書類をひろげてまたしゃべりだした。(父は実際はその言葉を少しも信じてはいないのに、おせいの前をつくろって信じているらしくみせているのではないか。つまり父までがぐるになっているのではないかとさえ疑った)

「こうした依頼を受けているんです。土地としては立派なもんだし、このとおり七十三町歩がちょっと切れているだけだから、なかなかたいしたものだが、金高が少し嵩むので、勧業が融通をつけるかどうかと思っているんですがね……もっともこのほかにもあの人の財産は偉いもので、十勝の方の牧場には、あれで牛馬あわせて五十頭からいるし、自分の住居というのがこれまたなかなかなことでさあ。このほか有価証券、預金の類をひっくるめると、十五万はたしかなところですから、銀行の方でも信用をしてくれるとは思っているんですが」