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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

人見はおかしな男だった。西山には何んとなく気を兼ねていたが、西山がどうかすると受身になりたがるガンベの渡瀬に対してつけつけと無遠慮をいった。つまり三人は三すくみのような関係にあったのだ。

「新井田の細君の所に行って酒ばかり飲んでうだっているくせに余裕がないはすさまじいぜ」

「貴様はそれだからいけねえ。あれも勘定ずくでやっている仕事なんだ。いまに御利益が顕われるから見てろ」

「じゃここに来て油を売るのも勘定ずくなのか」

「ばかあいえ。俺だって貴様、俺だって貴様……とにかく貴様みたいな偽善者は千篇一律だからだめだよ……なあ西山」

牡蠣のような片目が特別に光って西山の方に飛んできた。不思議だった。西山は涙を感じた。

森村が眠そうな顔をしながら会心の笑みのようなものを漏らした。そしてしびれでも切らしたようにゆっくり立ち上って、ろくろく挨拶もせずに帰っていった。十時近いことが知れた。森村はどんなことがあっても十時にはきっと寝る男だったから。西山の演説を主題にして論じようといっておきながら、知らん顔をして帰っていった。

「ガンベのいうことはそりゃあんまり偽悪的じゃないか。