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えいがのかたるげんじつ

映画の語る現実

宮本 百合子

「文理科大学新聞」1937(昭和12)年11月20日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,771 字 · 6 页

青空文庫

事件と事件との間にはそれぞれの事件の質の推移もあるのである。そこが、くっきりと認識されていず事件から事件へと平面的にうごいている。これも些細なことのようであって、実は単なる技術上の問題につきないところに芸術と現実との歴史的な問題がかくされているのである。これ等のさまざまな問題を与えつつ「大地」はたしかに昨今の傑出した映画の一である。「大地」を製作させる今日の中国の歴史生活の意味を感じさせる作品である。近衛秀麿氏の言う如く単なる宣伝映画ではないのである。

つづいて、私は或る機会で、文部省その他の役所の人々が集まってこしらえている「都市生活委員会」主催の「都市生活映画第一篇小学校」三巻を観た。主な監督者は飯田心美氏。委員制によってつくられた作品で、日本の小学校がどのように児童の衛生、学習のために注意を払っているかということを映画化したものであると説明された。主に映されているのは芝高輪の極めてモダーンな小学校である。飯田氏は、一ヵ年間の苦心になる作品であり、冬期は全く撮らなかったと言われた。画面は美に必要な光線が不足だからなのであろう。五月と秋晴れの一ヵ月の午前だけとられたそうだ。