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はるのひ

春の日

小川 未明

「教育・国語教育」1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,003 字 · 5 页

青空文庫

もう、春です。仲のいい三人は、いっしょに遊んでいました。

徳ちゃんは、なかなかのひょうきんもので、両方の親指を口の中に入れ、二本のくすり指で、あかんべいをして、ひょっとこの面をしたり、はんにゃの似顔をして見せて、よく人を笑わせました。とし子さんは、おこりんぼでちょっとしたことでも、すぐにいぼをつってしまいます。そうすると武ちゃんと、徳ちゃんは、つまらなくなります。二人が、いろいろに機嫌をとっても、とし子さんは、笑いもしなければ、ものもいいません。

そんなときです、徳ちゃんは、いつもする得意の、指を口に入れて、あかんべいをして、とし子さんの顔をのぞきます。さすがに、いぼつりのとし子さんも、これを見ると、くすくすと笑い出して、じきに機嫌を直すのが例でありました。

武ちゃんには、徳ちゃんのように、そんなひょうきんのまねはできませんでしたから、もし、とし子さんと二人のときに、どうかして、とし子さんが、いぼをつれば、

「としこさんのばかやい。」といって、悪口をいうか、なぐりつけるのが関の山で、とし子さんも、

「だれが遊ぶもんか。」と、いって、泣きながら、帰ってしまいます。