轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しゅんでい

春泥・三の酉

久保田 万太郎

久保田万太郎『春泥・三の酉』。同一底本的分册已合并为一书。收入:春泥、三の酉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 页

青空文庫

……役に「凝る」……それだけのことだった。――たゞそれだけがかれの生命だった。――通りぬけの、どんなつまらない仕出しでも、つまらなければつまらないほど、どうにでもしてそれを生かそうとのみつねにかれは苦労した。――いえば、投遣な、大ざっぱな、ぶッきら棒なその仲間たちのあいだを縫って、はつらつと、若鮎のようにかれは閃いた。

倭とわかれて由良の手もとに返ってからは一層その影が舞台に濃くなった。由良の一座になくてはならぬ愛嬌ものになった。かれが出るとわけもなく客は喜んだ。劇評家たちは、その見巧者ぶりをみせたいため、興行毎に必ずかれについて必要以上の筆を費した。――かれとして有頂天にならざるをえなかった。

ちょうどそのころである。市村座で『闇黒世界』という西洋種の新狂言をやることになった。「本読」を聞くと、その中に、主人公の催眠術師が一人の男をその術にかけ、自由自在にそいつを飜弄するところがあった。――黙って聴いてはいたものゝ、由良の催眠術師でその術にかゝる男は自分――そう来るもの、そう来なくっちゃァならないものとひそかにかれは北叟笑んだ。――そうでなくってもコヤの軽いことを始終味噌にしているかれである。