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とけいやしきのひみつ

時計屋敷の秘密

海野 十三

「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页

青空文庫

と、八木がたずねた。

「だって……だって、君は幽霊じゃないのかい」

「なんだって、ぼくが幽霊だって……」

「だってさ、先に一人、君と同じ姿をした少年が塀を内側へ下りたんだ。つづいてぼくたちが下りてみるとね、その少年はいないのさ、ふしぎに思っていると、今君が塀の上から声をかけて下りてきた」

「うふ、わははは」

と、八木は笑った。

「なにがおかしい」

「だって、はじめの八木少年も、あとから塀をのぼって来た少年も、どっちもぼくだもの、顔を見れば分るじゃないか」

「だってさ、はじめの八木少年は姿を消してしまったんだもの、あやしいじゃないか」

「ああ、それはこういうわけだ。ぼくは、一番先に塀を下りた。すると、そこに小さな洞穴があいていた、ほら、見えるだろう、あれだ」

と、八木は、くずれた塀の内側に小さい洞穴があって、入口を、雑草がしげってなかばかくしているのを指した。

「あの洞穴へはいって見たんだ、するとね、だんだん奥がふかくなって、道がまがってついている。その道のとおり歩いていると、ぽっかりと塀の外へ出たんだ」

「へえーッ、塀の外へね」

「そうなのさ、だからもう一度、塀をよじのぼって、こっちへ下りて来たんだ」