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とけいやしきのひみつ
時計屋敷の秘密
海野 十三
「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页
かなり永い間、怪人は呼吸をはずませ、肩を波のように上下し、指でのどをかきむしり、苦しみつづけていた。そのうちに、ようやくおさまったものと見え、ふらふらと立ち上った。そして鉄の棒をとって、土台石を動しはじめた。元のように土台石を直そうというのであろう。
八木君は、溺死したのではなかろうか。土台石を元へもどすよりも、早く八木君をかいほうしてもらいたいと、この際、誰でも思うであろう。ところが怪人は、そんなことは捨ておいて、土台石を元のとおりに直すことに夢中になっているように見えた。そして、その間にも、ときどきうしろをふりかえって、このガラス廊下の入り口の方を気にしていた。
語る怪囚人
怪囚人は、一息いれると、八木少年のそばににじりより、気を失っている少年をよびさまそうとつとめた。
少年は、やっと気がついた。そしてきょろきょろと、あたりを見まわした。
「あ、あなたは?」
怪囚人は、しっかりと少年を抱えていて、はなさなかった。そして仮面をかぶった自分の顔を見られまいと、顔をそっぽに向けていた。
「もう心配ありません。きみの生命、助かりました」
怪囚人は聞きにくいことばで、少年をなぐさめた。