轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
そうして階段を降りて行く女の姿を見送った人々は、直ぐに視線を転じて、あとに残った男の方を凝視するのであったが、男はそんな事に気も付かない体で、椅子の背に横すじかいに凭れかかったまま女の出て行ったあとをじいーっと見詰めているようであった。
しかし、それは大して長い時間ではなかった。やがて感慨深そうに眼を閉じて、何やら二三分間考えていた男は、急に高らかに笑い出しながら眼を開いて、そこいらを見廻した。
「アハハハハ。馬鹿野郎。何を考えているんだ。考えたって何になるんだ。アハハハハ。おい。ボーイ。酒だ酒だ。ウイスキーでもアブサンでも、ジンでも、キュラソーでも何でも持って来い。みんな飲んでやる。ねえ諸君……」
と叫びながら今度は近い処に固まっていた五六人連れの学生にとろんとした眼を向けた。
「ねえ諸君……諸君は学生だ。前途有望だ。理想境に向って驀進するんだ。……吾輩もカフェー・ユートピアに居る。即ち酒だ。酒が即ち吾輩の理想境なんだ。あとは睡る事。永遠に酔い永遠に眠る。これが吾輩のユートピアだ。アッハッハッハッ。どうだね諸君……」
「賛成ですね」
「うむ。有り難い。