轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
「どうしてお持ちになりますか」
と訊ねてみると、女は矢張りつつましやかに、
「どうぞ恐れ入りますが新聞紙で真四角に包んで頂きとうございます」
と云ったからその通りにしてやると、女は手提の中から大きな白金巾の風呂敷を出して、丁寧に包んで、それから俥屋を呼ぶと新橋二五〇九と染め抜いた法被を着た、若い二十代の俥屋が這入って来た。そうして白い風呂敷包を金とは気が付かぬらしく、女が命ずるままに無雑作に抱え出して俥に乗せた。女はそのまま丁寧に挨拶をして俥に乗って、帝国ホテルの方へ行ってしまったが、支配人と店員の一二名とは見送ったまま門口に突立って、俥のうしろ姿が見えなくなるまで見送っていた。
「その婦人はどんな香水の香りがしていましたか」
と私は語り終った支配人を追っかけるように訊ねた。支配人は面喰ったらしく急に返事をしなかった。
「……さあ……どんな香水でしたか……アハハ……どうも……」
「そうして岩形氏の預金は、あとにどれ位残っておりますか」
「たしか三万円足らずであったと思います」
「どうも有り難う。いずれ身元がわかったらお知らせします。あ……それから貴下は岩形氏の住所を御存じですか」