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ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
二人の眼には確信の輝きがあった。私の命令の意味を十分に呑み込んで、遠からず女を逮捕して見せるという私の自信を、そっくりそのままに自信しているものと見えた。
けれども私は、居室に退いた連中が、まだ相談を初めないうちに、突然、眼を閉じて頭を強く振った。
「……オイ……いけない……ちょっと待った……」
「……………」
腰をかけていた連中は皆立ち上った。屍体の足の処を行きつ戻りつして考え初めていた熱海検事も、その位置に停止した。窓の前で何やら話し初めていた杉川警察医と古木書記の二人も皆、面喰った顔を揃えて私の方に向けた。
私は右手でぴったりと額を押えながら杉川警察医をかえり見た。
「杉川君……」
「ハイ」
「先刻ボーイの山本が意識を回復した時に……モウ正午過ぎですか……とボーイ頭の折井に訊ねたのは、単に寝ぼけて云ったのでしょうか……それとも何か理由があって訊いたのでしょうか」
杉川医師もちょっと横額を押えた。
「サア。その辺はどうも……」
「私が行って訊いてみましょうか」
と轟刑事が進み出た。
「ああ。そうしてくれ給え。今日の正午まで妾が来た事を黙っていてくれるように……と云って、女から頼まれたんじゃないかと云って、うんと威かしていい……心臓痲痺を起さない程度に……ハハ……」