轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しょきかん

書記官

川上 眉山

「太陽」1895(明治28)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,182 字 · 36 页

青空文庫

あなたがおいでなさらないうちはね、父様がね、私をいじめてばッかりいるの。と嬌優る目に父を見て、父様、もう負けはしませんよ。と笑いながらまた綱雄に向い、なぜもっと早く来て下さらなかッたの。あんまりだわ。私なんぞのことはすこしもお構いなさらないからひどいわ。あらいやな髭なんぞを生やして、と言いかけしがその時そこへ来たる辰弥の、髯黒々としたるに心づきて振り返りさまに、あら御免なさいましよ、おほほほほ、と打って変りたる素振りなり。

これは私の親戚のもので、東条綱雄と申すものです。と善平に紹介されたる辰弥は、例の隔てなき挨拶をせしが、心の中は穏やかならず。この蒼白き、仔細らしき、あやしき男はそもそも何者ぞ。光代の振舞いのなお心得ぬ。あるいは、とばかり疑いしが、色にも見せずあくまで快げに装いぬ。傲然として鼻の先にあしらうごとき綱雄の仕打ちには、幾たびか心を傷つけられながらも、人慣れたる身はさりげなく打ち笑えど、綱雄はさらに取り合う気色もなく、光代、お前に買って来た土産があるが、何だと思う。当てて見んか。と見向きもやらず。

善平は独り中に立ちて、ひたすら二人を親しからせんとしぬ。