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しょきかん
書記官
川上 眉山
「太陽」1895(明治28)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,182 字 · 36 页
とこう言って来ておくれ。急いで、いいか。おッと櫛が落ちたぞ。
* * *
それはお前の一克というものだ。そんなに擯斥したものではない。何と言っても書記官にもなっている人だ。お前も少しは我を折って交際って見るがいい。となだむる善平に反りを返して、綱雄はあくまできっとしていたりしが、いや私はあんな男と交わろうとは決して思いません。見るから浮薄らしい風の、軽躁な、徹頭徹尾虫の好かぬ男だ。私は顔を見るのもいやです。せっかく楽しみにしてここへ来たに、あの男のために興味索然という目に遇わされた。あんなものと交際して何の益がありましょう。あなたはまたどこがよくって、あんな男がお気に入ったのですか。
私も何だかあの方は好かないわ。と指環を玩弄にしながら光代は言う。
そうだ。そうあるべきことだ。と綱雄は一打ち煙管を払く。その音も善平の耳に障りて、笑ましき顔も少し打ち曇りしが、それはどんな人であっても探せばあらはきっと出る、長所を取り合ってお互いに面白く楽しむのが交際というものだ。お前はだんだん偏屈になるなア。そんな風で世間を押し通すことは出来ないぞ。