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しょきかん
書記官
川上 眉山
「太陽」1895(明治28)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,182 字 · 36 页
一体父様は私をそんなに可愛がって下さらないわ。それだからこの間家にいた時も、私を出し抜いてお芝居へいらしったんだわ。私は大変に恨むからいい。
はて恐いな。お前に恨まれたらば眠くなって来た。と善平はそのまま目を塞ぐ。あれお休みなさってはいやですよ。私は淋しくっていけませんよ。と光代は進み寄って揺り動かす。それなら謝罪ったか。と細く目を開けば、私は謝罪るわけはありませぬ。父様こそお謝罪りなさるがいいわ。
なぜなぜと仰向けに寝返りして善平はなお笑顔を洩らす。それだっても、さんざん私をいやがらせておいて、と光代は美しき目に少し角を見せていう。おれが何をいやがらせるものか。お前が独りでいやがっているのだ。それはもう綱雄は実にこの上もない男さ。
また綱雄さんのことをおっしゃる。それはもう奥村さんはえらいお方でございますよ。私ア真実に、真実に、真実に、真実に、真実に、真実に怒ったわ。
はははは。大そう「真実に」怒ったな。怒るのを一々断わるものもないものだ。お前は真実に怒ったから、おれは嘘に、嘘に、嘘に笑おうか。
何とでも御勝手になさいまし。私アもう……、私アもう……、私ア家へ帰りますよ。