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そがのあばれんぼう

曽我の暴れん坊

坂口 安吾

「キング 第三〇巻第六号」1954(昭和29)年5月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,123 字 · 19 页

青空文庫

やい、男なら、何とかしろ。さもないと、私がタダじゃアおかないよ。女と思って見くびるな。向う脛をかッ払うぞ」

「まて、まて。その方と事を起すのは好まぬ。事情あって、拙者は一命を大切に……」

「オタンコナスめ」

白拍子が打ってかかろうとすると、軽くその肩を押えた五郎。

「ム。痛い。ウーム、この野郎、なんてい馬鹿力だ。よせやい。動けねえや。痛いよ」

「オレは事情あって事を起すのが好きだな。オレをお前のウチへ案内しろ」

「コレ。五郎。一命を大切に……」

「一命を大切にしてるよ。ただ、事を起すだけだよ。早く、案内しろ。悪侍を退散させてから居候になるつもりだから、毎日うまい物を山盛りくわせるのを忘れるな」

「お前さんは誰だい」

「箱根の天狗だ」

「よーし。気に入った。さア、おいで」

「コラ、待て。五郎。一命を」

「大切にするよ」

女と五郎は走りだす。物見高い連中が後を追って走りだす。仕方がないから十郎は半分歩いて半分走って、一命を大切に――呟きながら足をひきずっている。

長者の門前へ来てみると、今しも親分格の奴がズカズカ上って虎を軽々と押えつけているところだ。門をはいった五郎、悪侍によびかけた。