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そがのあばれんぼう

曽我の暴れん坊

坂口 安吾

「キング 第三〇巻第六号」1954(昭和29)年5月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,123 字 · 19 页

青空文庫

そこへ居候にころがりこんだから、平六の女房は大喜びで下へもおかぬモテナシをしてくれるけれども、人のおらぬ物陰で、十郎はしきりに口説かれる。十郎も閉口して、

「明日ここを出ようじゃないか」

「こんなに待遇のよいうちを急にでる必要はないね。半年一年、ゆるりと滞在しようじゃないか」

「そんなに長居してはオレの命がなくなってしまう。実はこれこれの事情で、どうにも滞在ができなくなった」

「そういう事情なら仕方がないね」

翌日そこをでて、同じ村の三浦義澄方に居候する。ここは叔母の家だ。叔母だから大丈夫だと思っていたら、そうは参らなくなってしまった。

三浦義澄に片貝という侍女があったが、これが絶世の美女である。義澄はこれに手をつけたからその女房、つまり二人の叔母に当る人がヤキモチをやき、もめている最中であった。

兄弟が居候にころがりこんだので喜んだのは叔母である。三四日様子を見ると、片貝は十郎を見るとソワソワしたりパッと顔をそめるような様子。十郎もまたことさらモッタイぶった渋い顔になるのが曲者だ。叔母はさてこそと十郎を呼びよせて、

「片貝という侍女、絶世の美人とは思わないかい」