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あさかのみやでんかにじしてみなみアルプスのたび
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
木暮 理太郎
「中学生」1923(大正12)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,765 字 · 26 页
殿下を御中に一同再び記念の撮影をする。
午後一時頃、県からであろうビールが御手許に差上げられた。殿下は敢て飲物や果物に限らず、其品が何であろうとも、御自身お一人の外、随行者にゆき渡らぬような場合には、唯其好意を謝し給うのみで、決してお手をお附けになった例がない。此時はたとえ一杯宛でも随行者に配分することが出来たので、殿下は御満足の御様子に拝された。私共は打揃って殿下にお礼を言上した。
「●北より見たる摩利支天峰と北岳及び間ノ岳」のキャプション付きの写真
●北より見たる摩利支天峰と北岳及び間ノ岳
頂上から七丈ノ小屋へは一時間で足りる。花崗岩の※爛した細砂が雪のように白く敷き詰めている頂上から少し東に下ると、絶えず右に地獄谷を瞰下する断崖の縁に沿うて、始めは矮小な偃松と黄花石楠などの生えている中を、後には巨岩と太い偃松との重なり合っている間を、右に左にうねり下り、やがて偃松が終って岳樺や深山榛などの林の中を暫く下ると小屋に達する。
小屋は北から東に懸けての眺望が開け、居ながらにして八ヶ岳、秩父連山、地蔵、鳳凰の諸山が目に入る。ここは山の七合目であるが、近くに七丈ノ瀑があるので、七丈ノ小屋と呼ばれている。