轻松读懂日语经典作品
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もくばはまわる
木馬は廻る
江戸川 乱歩
「探偵趣味」探偵趣味の会、1926(大正15)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,819 字 · 20 页
「これ、駄目でしょ」彼女はある時、彼女の肩にかかっている流行おくれのショールを、指の先でもてあそびながら云ったものである。だから、無論それはもう寒くなり始めた頃なのだが「おととしのですもの、みっともないわね。あたしあんなのを買うんだわ。ね、あれいいでしょ。あれが今年のはやりなのよ」彼女はそう云って、ある洋品店の、ショーウインドウの中の立派なのではなくて、軒の下に下っている、値の安い方のを指しながら、「あああ、早く月給日が来ないかな」とため息をついたものである。
成る程、これが今年の流行だな。格二郎は始めてそれに気がついて、お冬の身にしては、さぞ欲しいことであろう。若し安いものなら財布をはたいて買ってやってもいい、そうすれば彼女はまあどんな顔をして喜ぶだろう。と軒下へ近づいて、正札を見たのだが、金七円何十銭というのに、迚も彼の手に合わないことを悟ると、同時に、彼自身の十二歳の娘のことなども思い出されて、今更らながら、この世が淋しくなるのであった。
その頃から、彼女は、ショールのことを口にせぬ日がない程に、それを彼女自身のものにするのを、つまり月給を貰う日を待ち兼ねていたものだ。