轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう
本州横断 痛快徒歩旅行
井沢 衣水
「冐險世界 第四卷第拾參號」博文館、1911(明治44)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,069 字 · 29 页
しゃあしゃあとしていう番頭の面が癪に触ってならなかった。戯談じゃない。これから先は一町でも一里に当る。旅館の不親切、呆れたものだ。十町を歩いて湯田中見崎屋へ泊る。感じのいい家なり。温泉に浴して汗を流し、鯉汁のお代りをして飯八椀を平らぐ。翌朝まで何事も知らずに眠る。次の日は千曲川の船橋を渡り、妙高山、黒姫山の麓を迂回して越後国高田に出づ。ここに少憩して付近の勝を探ぐり、はるかに左方春日山の城跡を仰おいで、曠世の英傑上杉輝虎の雄図を偲び、夕陽斜めに北海の怒濤を照すの夕闇に、潮鳴りの物凄き響きをききつつ、直江津の町へ入った。停車場前のいか屋という旅館へひとまず泊ることとし、何はともあれ、まず第一に、山河二百里を蹴破り来りしこの鉄脚を、日本海の荒浪に洗わんものと、海岸を指して出かけた。孰れも勇気凛々、今日を限りにこの痛快無比の旅行と別るるのが残多いようにも思われ、またこの行を了ったという得意の念もあった。
いよいよ日本海に出ずれば、渺茫として際涯なく黒い海面は天に連なり、遥か左方は親知らず子知らずの辺ならん、海波を隔てて模糊の間に巉巌の直ちに海に聳立っている様が見える。