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すぎこ
杉子
宮本 百合子
「新女苑」1941(昭和16)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,552 字 · 19 页
「もっともあまりかたまって議論していれば、それがまたいけないことになるんだろうが……」
学校では、学生が文学研究のためのグループをこしらえることもとめているのであった。
追試験をしなおすこと、今度だけは処分というようなことはしないこと、教えっこをした学生で、クラス委員になっているものは委員をゆずること。その日のうちにそれだけが決定された。
次の日の昼休に、全校の学生が講堂に集められて、校長から特別な訓話があった。
表面的に事件のしめくくりはつけられたが、クラスの気分の動揺は永く尾をひいて、現在の学生生活の当途のないつまらなさやそれぞれに落着かない青春の可憐な摸索やらが、みんな今度の事件に絡みあった後味となって影響をのこした。
「ね、杉子さん。私こんどつくづく自分て下らないんだと思っちゃったの」
校舎の裏の小高い丘の石の上へかけながら紀子が歎息して云った。
「岡先生のおっしゃったこと本当ね。少くとも私なんかは自分で自分の行動に責任なんか負えない人間なんだわ。だからね、もうこれから新体制にしちゃうことにしたの。大人の戒律に従順にしているのが分相応なんだと思うの」