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むらのせいこうしゃ
村の成功者
佐々木 邦
「現代」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,883 字 · 84 页
家の人さえ相手にしていない。考えて見ればお父さんからも注意があった。金箔つきの妄想を自分都合で有意義に解したのが浅ましい。
「溺るゝ者は藁にも縋る」
という昨夜の字幕が妙にクッキリと頭に浮んだ。
村を出放れたところで近所の小寺君に追いついた。これは師範生だけれど、小学校は同級生だ。
「角町かい?」
「うむ。君は?」
「僕は百間川だ。一緒に行こう」
と二人は道連れになった。
「あゝ、児玉君、お芽出度う」
と小寺君は気がついたように微笑む。
「何だい?」
「君の伯父さんさ」
「何だい? 一体」
「君は未だ新聞を見ないのかい」
「見ない。今朝は早く出て田川へ寄って来たものだから」
「寄ったなら聞いて来たろう?」
「いや、一向」
「田川さんと尾崎さんのことが出ていたんだよ」
「ふうむ。何て? 何て?」
と卓造君は急き込んだ。
「いつか正次郎君から聞いた百間川の水力電気さ。あれを尾崎さんと君の伯父さんがやるそうだ」
「本当かい?」
「可なり長く書いてあったよ。尾崎さんの談話も載っていた。角町へ四十何年か御無沙汰をしたお詫にお土産として永久的繁栄策を残して行くんだってさ」
「それは好いことを聞かせてくれたね。