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むらのせいこうしゃ

村の成功者

佐々木 邦

「現代」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,883 字 · 84 页

青空文庫

「何万円儲かっても田川の金だ」

「田川のものは家のものですわ」

「それが違うよ」

「違いません」

「お前は馬鹿だから仕方がない」

「馬鹿とは何です?」

「まあ/\、静かにしなさい」

「それじゃ兄さんの方から出して下さると仰有れば宜いんでしょう?」

「おれは頼まない代りに反対もしない」

「あなたのお顔は私が立てますよ」

「…………」

「儲かるんですもの。卓造の学資ぐらい何でもありませんわ」

「金儲けの話はもうよしてくれ」

「変人ね」

と細君は唇を噛んだ。

卓造君はこの問答を小耳に※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)んで翌日角町へ出掛けた。何うも落ちつかない。大抵なるようになるだろうと思うのだが、勝田君の鑑定を求めたかった。

「時に児玉、貴様は実に怪しからんぞ」

と勝田君は二言三言話した後、思い出したように言った。

「何だい? 一体」

「尾崎さんを見送りに行った日のことだ」

「あの時は従兄と一緒だったし、あの通り押し合いだったものだから、つい紛れてしまって失敬した」

「いや。それは構わないが、僕と坂本は後から君を跟けたんだ」

「ふうん」

「待合へ入ったな」