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むらへかえったしょうへい

村へ帰った傷兵

小川 未明

「日本の子供」1940(昭和15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,124 字 · 9 页

青空文庫

その後病気のため死んでしまったが、こんど帰ったら、お墓へお詣りをして、昔のおわびをしなければならぬ。」

夜中ごろ、汽車は山間にかかりました。山には雪がつもっていました。急に寒気がくわわって、忘れていた傷口がずきずきと痛み出しました。

「あの老人は、しんせつにも傷口が痛みはしませんかときいてくれたが……。」

清作さんは、自分よりは、もっと大きな負傷をしたり、また手術をうけたりした傷兵のことが、思い出されたのでした。あの人たちは、いまごろ、どこにどうして日を送っているだろうか。このごろの寒さに、傷口がひきつって、さぞ痛むことであろうと、案じられたのでありました。

清作さんが、村へ帰ると、さすがに村のものは、温かい心をもってむかえてくれました。そして、清作さんの喜びは、それだけではなかったのでした。みんなが今度の聖戦は、東洋永遠の平和のために、じゃまになるものは、いっさいをのぞくのであるから、簡単にいくわけがなく、戦線と銃後を問わず、心を一つにして、ともに苦しみ、相助け合い、最後の勝利を得るまでは、戦わなければならぬということを、よく知っているからでした。