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とうあのへいわをろんず

東亜の平和を論ず

大隈 重信

「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页

青空文庫

最も機敏な外交家達がそれを忘れたということはよほど不思議である。阿弗利加とは大いに違う。そういう馬鹿な事が出来るものでない。そこで私はその当時、いわゆる各国の勢力範囲なるものは実印を押さぬ証文同様であると評した。ところがその当時日本は福建省の不割譲を約束してあったのも併せて罵倒した様な訳で、各新聞などから甚だ相済まぬという批評を受けた。我輩はその当時外務大臣で当局者であったから一層世間の攻撃が八釜しかったが、私は正直だから思った通りを述べたのである。事実その通りだ。大切な証文に捺印がしてないのに己の権利があると、そんな馬鹿な話はない。そんならばどうするかというと、支那の様なああいう大国は、騒がすと蜂の巣のようなもので面倒だ。そっとして世話をしておく。そうして支那を誘導して開発するということが必要であると、こういう議論を唱えたのである。

而して支那を開発し支那を誘導するには如何なる国が先生となるか、あるいはこの大病人を診察をしてこれを治療する医者になるか、看護婦になるかという問題が大問題である。これは英国が古くから交際があるから宜しかろう、もしくは境を接しているから露西亜が宜しかろう、もしくは米国が友誼的に先生となって指導した方が宜しかろうかという事があったが、これまた不可能の事である。